DGG(ベトナムグランディス)累代飼育の基礎

グランディスは世界最大のオオクワガタとして知られている。
天然個体のDGG(Dorcus grandis grandis)は、88.5mmのギネス記録がある。

国産オオクワガタや他の大型外国産オオクワガタの殆どは、天然個体を超える個体が飼育下で作出されているが、DGG(Dorcus grandis grandis)は超えることが未だ果たされていない。

グランディス(DGG)の飼育者は大型個体の作出をまず一番の目標とし、天然ギネス超え、更には90mm超えを目差している方々も多いと思う。

昨今、国産オオクワガタ等で他種の交配の噂をよく見聞きするが、大きさと形を簡単に出せるから行われているとの事らしい。

このような他種の交配はグランディスには一切通用しない。グランディス自体が世界最大の種なのである。他種を交配しても大型個体の作出を追及する上では無意味と化す。


かつて多くの国産オオクワガタブリーダーが追い求めた80mm個体の作出。ただ「大きくする」と言った事は今となっては珍しくなってしまった感があるが、そんな「古きロマン」がまだ脈々と生き続けている唯一の飼育種(大型外国産オオクワガタ)、それがグランディスである。

当時の国産オオクワガタの80mmが、現在のグランディスの90mmにオーバーラップして見える。そんな感覚を持たれる飼育者は、たぶん私だけでは無いであろう。

輸入されてから既に過多な年月を要したにもかかわらず、当時の国産オオクワガタ80mm個体の作出以上に、グランディス(DGG)の90mmは難攻不落な存在である。下手な小細工が一切通用しない、それがグランディスの飼育でもある。

大きさだけを追い求める「古きロマン」も良いものだが、私は大きさと形の両方に着目している。特に形が貧弱に見られがちなDGGに関しては、大きさはもとより、個体の持つフォルムに関しても注視した飼育を行っている。

それでは、私が行っている累代飼育の基礎の一つ、前胸背板の窪みについてを記述したい。


以下に掲載した画像はDGG(ベトナム産)の同血統F3のものであるが、同じ血統でも個体により前胸背板前縁の窪みには差異が現れてくる。

82mm(A)                 82mm(B)                80mm
 
80mm

80mm
82mm(B)

82mm(B)
82mm(A)

82mm(A)
DGGの前胸背板前縁の窪みは画像の80mmの個体が一般的である。
特にラオス産はこの形状をしている個体が多いと思うが、私が飼育しているベトナム産はご覧の通りで、各羽化個体でそれぞれのバリエーションを持っている。


82mm(B)裏 82mm(A)裏

同体長の82mm(B)と82mm(A)を裏から写した画像のの部分に着目していただきたい。


80mm 82mm(B) 82mm(A)

また、画像のように頭部から前胸背板前縁にかけてラインを引くと、80mmの個体、82mm(B)の個体、82mm(A)の個体とで、それぞれラインの傾斜とその空白域が違うことが判ると思う。


頭部と前胸背板(真上から)
前胸背板前縁の形状(斜めから) 前胸背板前縁の形状(斜めから)

上に掲載した画像は先日羽化した個体(新成虫)のものであるが、前胸背板前縁の窪みはご覧のように独特である。真上から見ると、頭部から前胸背板にかけてのラインがストレートに近い。

ラオス産 ベトナム産(新成虫)

同体長のラオス産と比較してみると、の部分の形状の違いがよりお判りいただけると思う。

ここで紹介しているラオス産のように前胸背板前縁の窪みが一般的な個体は、前胸背板幅が頭部幅よりも大きく、このことによって頭部が小さく見え、全体的に貧弱に映りやすい傾向にある。
(余談として、実際はこのラオス産も、ラオス産としては良い形をしている方であるのだが)


ベトナム産(天然個体)

最後にベトナム産の元親の画像を紹介したい。画像は少々見難いかも知れないが、前胸背板の形状は極普通のDGGの形状をしていた。初めから上に掲載した新成虫(累代個体)のような形状をしていた訳では決してないのである。

「DGGの格好良さ。その要素の一つはここ(前胸背板の形状)にあると私は考える。」

特にベトナム産に関してはここに着目し、個体の大きさとバランスを兼ね備えた良い種親を選び、より大きな個体の作出を目差し累代飼育を重ねている次第である。