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(その2) |
ミヤマクワガタの成虫は本当に越冬しないのか
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2012年7月上旬の北海道南部は、涼しい日が多かったため樹液を出している木がまだ殆どありませんでした。
上記の個体画像は7月4日に採集したフジ型のミヤマクワガタです。この個体、オオアゴと頭頂突起部がスレているほか、画像からも判りますように左後脚の爪が一本欠けています。
北海道南部ではエゾ、基本、フジの3タイプが採集できますが、シーズン当初はエゾ型か基本型が多く、発生間もないこの時期にフジ型が採集できることはまず殆どありません。また、どう見ても発生したばかりの個体には映りません。
長年採集を続けていますが、シーズン当初に稀にこの様な個体に出くわします。そればかりか樹液が出ていない時期、俗に言う木登りミヤマが発生する前の時期にもこのような個体に出くわしたことが何度かあります。事前に採集場所を見て歩くことがあるのですが、そんな時に出くわしているのです。
ミヤマクワガタの成虫はひと夏でその生涯を終えることは一般的な定説となっています。ですが、全ての個体が皆一様にそうなのか、それを実証し証明したと言った話は聞いたことがありません。
このような話は、その個体にマーキングでもして実証しない限り土台無理な話であると思いますが、個人的には前年の晩秋に地表に出現し、餌が無い為そのまま越冬した個体であると考えています。
その発生条件を仮定してみると、羽化した場所(古い伐根近くの土中)が崖下に有り、土砂崩れで土砂が覆い隠した場合、雪崩があり氷雪塊が覆い隠してしまった場合等もこのような個体が発生する条件になるのではと考えています。
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金毛ミヤマと銀毛ミヤマ |
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前羽根の細毛が銀色に近い輝きを見せる個体、これが通称「銀毛ミヤマ」です。 |
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一般的なミヤマクワガタはこんな感じ、金色に輝く細毛を持つ個体です。 |
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「銀毛ミヤマ」、聞きなれない響きかも知れませんが、上の画像のような個体がそれです。
体色が黒色系の個体に見られとても綺麗な輝きをしています。黒色系の体色でも下の個体のように金色に輝く細毛を持つものも居ますので、この毛色の変化には何かが影響しているものと考えています。
採集される個体の多くは中小型が多く、大型個体はあまり目にしません。シーズン後期に発生するタイプに多い感じですが、その優美な美しさはひときわ目を引きます。
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2次発生個体 |
2次発生体個体と言う言葉を使うのですが、正確に言えば後期発生タイプになるかと思います。
その年にもよりますが、6月中旬あたりからミヤマクワガタは発生しだしますが、これとは別に盆前後に発生しだすタイプが存在します。この発生群を2次発生個体(後期発生タイプ)と呼んています。(個体数は多くはありません)
私はその年に羽化した個体が地上に這い出てきたものとは思っていません。そのような群、グループが存在しているものと思っています。
なぜこのような群が存在しているのかと言えば、♀は一度産卵を終えると死ぬ訳ではなく、再度地上に現れ体力の補強と精子嚢に精子を蓄える為に樹液に集まるものと思っています。
ミヤマクワガタのメスにはこの傾向があると観察・採集より考察しています。同じフィールドで長い間観察・採集を行っていると、7月に見かけたメスが一度姿を消し、8月の盆過ぎに再度樹液に戻って来ているのを確認しています。
この時♂が居なければ話になりませんので、その為に2次発生個体(後期発生タイプ)が存在していると思っています。ミヤマクワガタの種を守る本能的特性がこのような発生タイプを生んでいるものと想定しています。
ただし、「ミヤマクワガタの成虫は本当に越冬しないのか」で紹介しました個体の中には、ひょっとするとその年に羽化した個体が地上に這い出てきたものがあるのかもしれない、とも思っています。
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