北海道の渡島檜山地域は、全国でも珍しいエゾ型、基本型、フジ型個体が採集できる地域となっています。
フジ型個体とは、大あごの第1内歯が最も発達し、その両端を合わせると大アゴの先端部が完全に離れる個体のことで、ここに画像を紹介した個体がまさにそれとなります。(体長は68mm台です)
フジ型に近い個体(蝦夷フジ型と呼称しています)は比較的多く、このような個体をフジ型と称し紹介しているブログ等を見ますが、北海道の渡島檜山地域では本物のフジ型は殆ど採集できません。
毎年シーズンを通し多くの個体を観察・採集・見分しています。その年にもよりますが本物のフジ型個体は、平均すると1シーズン10頭に満たない採集数です。
もう30年以上観察・採集を続けて来ましたが、このような大顎の形状をした完全なフジ型個体は初めてです。ただでさえ採集数が少ない完全なフジ個体、その個体が左右大顎の形状が違うのですから稀であり貴重なのです。
右の大顎は湾曲がきつく大きく弧を描き、左の大顎は直線的で先端部で弧を描く、このような対照的な大顎を持つ完全なフジ型はこれまで見たことがありませんでした。
この個体を他の個体の採集に置き換えるなら、モザイク(雌雄同体)と同等であると思います。モザイクはこれまで2度採集していますので、頻度から言えばこのフジ型の方が稀となります。
大顎に奇形や変異がある個体は毎年採集します。エゾ型や基本型のそれは普通に採集できますが、本物のフジ型個体であることに価値があります。
採集した時は個人的には感動もので、おそらくは、二度と採集出来ない個体であると思っています。
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