少し専門的な話となりますが菌糸体に含まれるβグルカン(連鎖構造により厳密に言うと種類が異なりますが総称としています)を主体に記したいと思います。
βグルカンは人に対する免疫力アップ(抗癌作用等)が注目され、アガリスクタケ、マンネンタケ(霊芝)、カバノアナタケなどが一時ブームとなりましたが、実は殆どのキノコに含まれる成分です。
ご存じの方も多いとは思いますがキノコは菌糸の子実体です。厳密に言えば子実体と菌糸に含まれている成分に違いがあるといった意見もありますが、今回はクワガタの飼育に主眼を置いていますので菌糸を主体とします。
まず初めに、菌糸ビンによるクワガタ飼育に欠かせない添加剤成分の一つとして糖質があります。糖質と言っても連鎖構造により色々な種類に分類されます。単糖類、少糖類、多糖類となりますが、このβグルカンは多糖類に分類されています。
菌糸ビンで育つクワガタの幼虫は当然ながらβグルカンも摂取しながら育っていることになります。βグルカンが幼虫の成長にどのような作用を及ぼしているのかは謎ですが、多糖類の中にはデンプンも含まれますのでコーンスターチが一部の添加剤として用いられていることからも、またセルロースやキトサンも多糖類の一種ですのでその有用性は高いと思われます。
※当店で販売している添加剤や菌糸ビンに配合している添加剤、菌床ブロックに添付している補助添加剤は上記のことを認知した上で試行飼育を行い、最良であると思われるものをチョイスしています。
さて、ここまでは一般的な簡単な糖質についてのことや多糖類のことを記しましたが、ここからはまた少し違うことを記します。それは粘性多糖類についてのことです。簡単に言いますと主に海藻類に含まれるネバネバ成分のことです。
海藻に含まれる成分の中にフコイダンと言う成分があります。フコイダンはβグルカンと同じ多糖類に属しています。その他にもラミナランと言う成分がありますが、これもβグルカンと同じような成分構造をしています。
陸上のキノコと海中の海藻、まったく違う環境で生育する両種ですが、その中身(成分)は非常に似ているところが多く、共通している部分が見られることに興味を深く感じます。
海藻類の粉末が食用キノコを多く生産させる為の添加剤として、以前より用いられてきたことを一般の方は殆ど知らないと思います。菌床の菌の活性化に一役かっているのですが、これと似たようなことを当店も試行しています。
それは粘性多糖の粉末を菌糸ビンに加えた飼育方法です。これ以上は明かせませんが、小型粉砕機ワンダーブレンダーWB-1を使用し今も色々と行っています。
当店はこれからも新規性や創造性を重視し、より良い飼育方法や大型化を目指し、添加剤等の試行を続けられる内は行いたいと思っています。
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