北海道南部の最強種
ミヤマクワガタの樹液をめぐる争奪戦や、♀をめぐる争いを何度か目撃したことがあります。特に晩夏の頃のそれは熾烈さを増し、生存競争の厳しさを教えてくれているようです。
殆どの場合、体格が良い方に軍配が上がりますが、中には一回り大きい個体に勝つ兵もいます。喧嘩が強いと言った遺伝的要素があるようにも感じられ、強いものだけが生き延びることのできる、自然界ならではの特質のようにも感じます。
北海道南部には、ミヤマクワガタ、ノコギリクワガタ、オオクワガタ、ヒメオオクワガタ、コクワガタ、スジクワガタ、アカアシクワガタ等が生息しています。
こちらでもオオクワガタは生息しているのですが、個体数が多くなく、しかも名に恥じるほどに大きくありません。自然界ではせいぜい60mm前後が大半と言ったところで、この時点で最強種とは言えません。
やはり大型種と言えばミヤマクワガタとノコギリクワガタです。普段は上手く住み分けをしている両種ですが、晩夏ともなれば樹液を出す木も限られてきますので、異種同士で争いが起こります。
前記しましたとおり、どのような種類でも殆どの場合体格が大きいほうが勝利します。これはミヤマクワガタとノコギリクワガタの場合も同じです。
大型のミヤマクワガタが近づいて来ただけで、ノコギリクワガタは逃げ出します。あえて争わないようにも見えますが、本能的なものが働いているのかも知れません。
何せこちらでは最大で77mmほどの個体が生息している訳で、70mm以上の個体も多く居ます。かたやノコギリクワガタはと言いますと、大きくてもせいぜい68mmで70mmを超す個体は稀です。
北海道南部の場合は、この両種が日中に行動しています。勝負は体格差にものを言わせたミヤマクワガタが勝つ場合が殆どで、正に最強の大型種としてその座に君臨しています。
オオスズメバチとの確執
盛夏の頃ですが、樹液を出している木の下に、オオスズメバチなどスズメバチの仲間の死骸が落ちているのを毎年目にしています。
今年(2011年)も確認していましたが、それはもう見るからに大きいオオスズメバチでした。その死骸を見てみると、かなり大きなキズがあります。
これはひとたまりもなかったであろう、と思われるほどの深手で、たぶんこれが致命傷となったのでは、と容易に想像できました。
オオスズメバチにこのようなキズを付ける事ができる存在は、動物や昆虫以外にはありえません。動物と言っても、昼間の樹上ですから鳥の仲間となりますが、スズメバチが多く居る木に小鳥は近寄りません。
北海道の南部にも猛禽類のハチクマが居ます。今年も何度か出会えていましたが、ハチクマは巣を襲うことが専門ですので、樹液に来ている単体を襲うことには?がともります。
そうなると、おのずとその傷を付けた主がクワガタであると察しが付きます。樹液を求め争っている内にやられた可能性が浮かび上がります。
オオスズメバチですら大型のクワガタにはそう手出しはしません。樹上での様子を見ているとそれがよく判りますが、盛夏の頃はこんな感じです。
晩夏の頃となるとスズメバチも活発化してきます。この時期は特に気が荒くなっていますので要注意です。
この頃になるとクワガタ達もスレた個体や傷付いた個体が多く、動きに精彩を欠き、結構大きな個体であっても戦いを避ける場合もあります。
また、スズメバチが多い場所では、落とされてしまうクワガタを何度か目撃しています。晩夏の傾向としては、樹上の高い場所にはスズメバチ、低い所にクワガタが居ると言った感じです。
大きな個体も集団で攻撃されて落とされてしまうのでは、と言ったことを思っていましたが、何せ動きが盛夏の頃とは全然違いますので、これも仕方が無いことかも知れません。
初夏の頃から晩夏の頃まで、シーズンを通し毎年見ていましたが、その時期により優劣が有ることは確かなようです。
その2へ続く